(前の記事の続き)さて前号でご紹介した24歳の女性は、眼瞼下垂の手術と目頭切開術を行うことになりました。
手術は弛んだ挙筋腱膜をリフトアップする方法ですが、左右のバランスと自然な目の形を造るのに熟練した技術と経験が必要です。目頭切開術はモウコヒダを修正してソフトで切れ長な目にします。
ところが手術当日に予想外な事になりました。突然その女性のご両親も一緒に来院されて、手術に大反対されるお父様と賛成のお母様が待合室でお嬢さんをはさんで大喧嘩になってしまったのです。結局、私が仲裁に入り2時間近くもお話しする羽目になりました。原因はお父様の目を見てすぐに分かりました。お嬢さんの目がお父様と全く瓜二つだったのです。
お母様の目はクッキリとした大きな二重です。色々とお話しましたが、お父様は「親から貰った顔にメスを入れるとはとんでもない!人間大切なのは外見ではなく中身だ!」という典型的な考えです。勿論お父様の考えにも一理はあり、また自分に似た娘の目を変えてしまうことへの寂しさもあったのでしょう。ただお嬢さんのカワイイ目になりたいという希望も叶えてあげたい。そこでお父様に手術内容や安全性をお話した後にこう切り出したのです。「お嬢さんの目は確かにお父様のDNAを引き継いでみえますが、お母様のDNAも半分入った目にしてあげたらいかがですか?」この一言でお父様は納得されたようです。
手術は無事終わり、結果も大変に良く、後日お父様がとても喜んでみえるお聞きました。娘の目が自分にとてもよく似て(?)可愛い顔になったと言っておられるとのことでした。どんな父親も自分の娘は可愛くて仕方がないのでしょうね。