(前の記事の続き)ご主人の浮気が原因でバストの手術を決心された42歳の女性は、マストペクシー(バストリフトアップ術)と豊胸術を同時に行うことになりました。女性のバストは乳腺と乳腺脂肪で構成されており、授乳時一旦大きくなった後は年令とともに小さくなって垂れ下がってしまいます。今回の手術では、先ず伸びてしまった皮膚を切除すると同時にその傷痕を利用して豊胸術バッグを入れる方法です。マストペクシーや乳房縮小術には数多くの方法がありますが、余剰の皮膚を切除しつつ自然で美しいバストの形を作るのは中々難しく、同時に豊胸術を行うために術後の血行障害や傷痕など高い技術と長い経験が必要な手術の一つです。
特にこの方の術前のデザインには長い時間をかけました。切除する皮膚の量と位置で乳頭乳輪のリフトアップの位置やバスト全体の形が決まるからです。豊胸術には最新のコヒーシブシリコン(外膜が破れても漏れない凝集性シリコン)のスーパーアナトミカルタイプを用いました。手術は先ず控えめに皮膚を切除して、乳腺の下にスペースを作成してバッグを入れ、バスト全体のバランスを見ながら少しずつ修正していくという細かい方法です。
長い時間の手術でしたが、無事終了し麻酔から覚めた時に患者さんが言われた「きれいな胸になった?」という言葉は今でも私の耳に残っています。今回の手術ではバストに対する「こだわり」と「思い」を強く感じました。結果は期待に応えることが出来たようで、検診時には表情まで自信に溢れて輝いて見えました。確かに美しいバストは輝く女性を作りますが、ご主人の浮気がその後どうなったのかは分かりません。