今回の患者さんは23歳の女性で、痩身のご相談に来院されました。中学・高校とバレーボールをされていましたが、やめてから徐々に体重が増加してきたとのことで、18歳の頃47kgだった体重は現在58kgになってしまったそうです。
「増えた皮下脂肪の殆どが脚に付いちゃったみたいで、可愛いミニやショートパンツがはけないんです」とのこと。診察と同時に超音波検査を行なったところ、スポーツをされていたためか大腿部・下腿部はかなりの筋肉量で、その上に体重増加による皮下脂肪がついていて、きゃしゃな上半身に比べてかなりの下半身肥満の状態になっていました。お話では色々なダイエット法やエクササイズ器具などを購入して試されたそうですが、すぐにリバウンドしたり、一番細くなりたい大腿部・下腿部に殆ど効果がなかったとのことでした。
現在の痩身術にはカーボメッドやメソセラピーなど炭酸ガスや特殊な薬剤を皮下脂肪層に注入して、脂肪を分解代謝する方法もありますが、この患者さんはカウンセリングの結果、効果が最も確実な脂肪吸引法に決定しました。これはよく知られているように、カニューレという細い吸引管で皮下脂肪を吸引する方法ですが、技術と経験に加えて、皮下で行う彫刻にも例えられるくらいに、美容外科分野では美的センスが最も必要とされる手術です。(次の記事に続く)
(前の記事の続き)ご主人の浮気が原因でバストの手術を決心された42歳の女性は、マストペクシー(バストリフトアップ術)と豊胸術を同時に行うことになりました。女性のバストは乳腺と乳腺脂肪で構成されており、授乳時一旦大きくなった後は年令とともに小さくなって垂れ下がってしまいます。今回の手術では、先ず伸びてしまった皮膚を切除すると同時にその傷痕を利用して豊胸術バッグを入れる方法です。マストペクシーや乳房縮小術には数多くの方法がありますが、余剰の皮膚を切除しつつ自然で美しいバストの形を作るのは中々難しく、同時に豊胸術を行うために術後の血行障害や傷痕など高い技術と長い経験が必要な手術の一つです。
特にこの方の術前のデザインには長い時間をかけました。切除する皮膚の量と位置で乳頭乳輪のリフトアップの位置やバスト全体の形が決まるからです。豊胸術には最新のコヒーシブシリコン(外膜が破れても漏れない凝集性シリコン)のスーパーアナトミカルタイプを用いました。手術は先ず控えめに皮膚を切除して、乳腺の下にスペースを作成してバッグを入れ、バスト全体のバランスを見ながら少しずつ修正していくという細かい方法です。
長い時間の手術でしたが、無事終了し麻酔から覚めた時に患者さんが言われた「きれいな胸になった?」という言葉は今でも私の耳に残っています。今回の手術ではバストに対する「こだわり」と「思い」を強く感じました。結果は期待に応えることが出来たようで、検診時には表情まで自信に溢れて輝いて見えました。確かに美しいバストは輝く女性を作りますが、ご主人の浮気がその後どうなったのかは分かりません。
美しくて豊かなバストはいつの時代も洋の東西を問わず女性ばかりでなく男性にとっても憧れの的です。私が美容医療の世界に長年いて感じるのは、女性のバストに対する強い「憧れ」と「こだわり」です。最近の女性の目覚しい美意識の向上と美容医療への関心が益々その傾向を強めているようです。人にはそれぞれ色々な悩みがあるものですが、女性のバストに対する思いは男性からは到底想像も出来ないくらいに強いものがあることを改めて感じたお話です。
42歳の女性がバストのご相談で当院に来院されましたが、外見は大変に若々しくて美容外科医の私の目から見ても30歳位にしか見えません。ところがお話は「20代の頃は大きさも形もキレイで張りもあったのに、2人の子供を出産して授乳をしたら垂れて小さくなってしまって今は見るも無残でとても悲しいです。」とすっかり自信をなくされている様子でした。
本当は、垂れて小さくなったバストは2人のお子さんを育てて来られた母親の証であり誇るべきものです。文学の世界でも「たらちねの(垂れ乳の)」は「母」を表す枕詞です。私はいつも患者さんのご相談やお話を徹底的に聞くことにしていますので、この方もカウンセリングがかなり長引いてスタッフが時間を心配していましたが、詳しく聞いてみると原因はご主人の浮気にあったようです。この女性は、ご主人の浮気の原因が自分のバストにあると結論された訳です。その希望はバストを以前のような若々しく張りのある状態に戻すということです。まさに”Mission imposible”です。
現在の状態は、元々大きかった乳腺と乳腺脂肪が授乳後に縮小したため伸びた皮膚や周辺組織とのアンバランスが原因のため、手術は過剰になった皮膚を切除しながらバストの中身を人工乳腺(バッグ)で増大する方法でマストペクシー(バストリフトアップ術)と豊胸術を同時に行うことに決定しました。(次の記事に続く)
今回の方は26歳の女性で小顔の相談で来院されました。カウンセリングでは「身長の割りに顔が大きく骨ばって見えるので、卵形のソフトな感じの小顔にしたい」というご希望で、当時有名なJJのモデルの写真を持参されました。モデルの女性は典型的な流行の小顔でハーフっぽい印象ですが、プロの私の目から見ると美容外科手術で色々と修正されているのが分かりました。
一方患者さんの顔は、頬骨が大きく前方と側方へ張っている上に、エラ骨(下顎角)も大きく咬筋も肥大しています。顔面骨は出っ張っていると顔が大きく見えてきつい印象になるばかりでなく、頬やコメカミは逆にこけて見えてしまいます。顔面骨のX線を見ながら患者さんの希望を聞いて手術の方法と限界などを詳しく説明し、手術としては頬骨縮小術(頬骨削り)と下顎角縮小術(エラ削り)に決定しました。
この手術は口腔内からのアプローチのために傷痕は外からは見えませんが、狭い視野で特別な器具を用いて行うために、熟練した技術と長い経験が必要です。特にこの患者さんは、縮小量を大きくするために頬骨は1cmほど切除し内方へ移動する方法と、下顎角は広範囲に角部を切除した後に外板を切除する術式を行いました。手術は全身麻酔で5時間近い手術でしたが、結果は非常に良好で、あれ程大きく骨張った顔が、1ヶ月後にはJJモデル並みにソフトな輪郭の小顔になっていました。
結果に大満足されたためか、その後この患者さんはバストアップの豊胸術、脂肪吸引術も受けられました。現在はモデルとして頑張っておられるようです。その方から頂いたお礼のメールの中に「先生は私の創造主です。」という言葉が気に入って今も大切にパソコンの中に保存しています。