下顎前突症(受け口)は顎顔面変形症の一つで、先天性または成長過程で下顎骨が上顎骨よりも前方へ出ている状態です。横顔ではアゴが異様に長く見え下唇が突出して顎顔面の美的バランスが失われるだけなく、上の門歯列を下の門歯列が覆う反対咬合の状態で醜態を呈します。
手術では下顎第4歯(第1小臼歯)または第5歯(第2小臼歯)を抜歯して、その歯槽骨部を切除してスペースを作成し、左右第1歯から第3歯または第4歯までの歯槽骨部を水平骨切りして分節し、後方へ移動(Set back)します。約5mmから8mmの後方移動が可能です。
歯科口腔外科などで一般的に行われている下顎枝矢状分割法(SSRO)や下顎枝垂直骨切り法(IVRO)では、術後2週間から1か月間の入院による顎間固定と鼻腔チューブ栄養が必要な上、術前には2年間に及ぶ歯列矯正を要することもあります。当手術ではたった3時間で翌日からの食事摂取も可能で、非常に短期間で通常生活が出来ることが大きな特徴です。
・頭部3D CT検査、3D透明立体モデル作成、頭部X線検査、パノラマ撮影、胸部X線検査、心電図、各種血液検査
・歯科にて歯列モデル作成時に、下顎左右第4歯(第1小臼歯)または第5歯(第2小臼歯)を抜歯します
全身麻酔
3D CT検査、3D透明立体モデルおよび歯列モデルにてシミュレーションを行い手術プランを立てます。
下顎口腔粘膜を切開し、骨膜下を剥離して下顎歯槽骨部を広範囲に露出します。
約2~3時間
圧迫固定 | 術後3日間はフェースバンデージにて強く圧迫して腫れを予防します。 |
痛み | 殆どの場合、術後の痛みは軽度な鈍痛程度です。ピークは2~3日でその後は徐々に軽減して行きます。 |
腫れ | 1週間をピークに2週間くらいで退いて来ます。 |
うがい消毒 | 術後は2週間、毎食後イソジンでうがいを励行して頂きます。 |
抜糸 | 吸収糸のため抜糸は不要です。 |
検診 | 翌日、1か月後、3ヶ月後、6か月後 |
シャワー・入浴 | シャワーは翌日から、入浴は3日後から。 |
痺れ | 術後しばらくの間口の周りの感覚が鈍くなることがありますが、通常は術後1カ月~3カ月程で徐々に回復して来ます。 術後下顎歯槽骨前歯部が後退するため、舌が歯列に当たりやすくなったり、滑舌が悪くなることがありますが、経過とともに徐々に改善します |
術後6カ月検診時に、歯牙結紮のワイヤー抜去後頭部3D CT検査を行います。
この術式では、抜歯して切除した歯槽骨の分が後方へ移動するため、移動距離の微細なコントロールや上顎歯列との微妙な調整は不可能で、set back部分や上下の前歯部に整合不全や隙間が出来る場合があります。通常は僅かな程度ですが、術前に歯列不整などがあると目立つことがあり、その場合には術後6カ月以降に歯列矯正またはセラミック歯による補綴治療が必要になります。
下顎前歯部が上顎前歯部よりも8mm以上前方へ出ている重度の下顎前突症、閉口が不能な骨格性開咬、下顎が左右に大きく偏位している場合などは、歯科口腔外科にてSSROや上顎Le Fortの手術が必要です。
手術によって門歯部が後方へ移動するとオトガイ部の突出が却って目立つ場合には、オトガイ骨形成術が必要になることがあります。
上顎前突症は顎顔面変形症の一つで、上顎骨が前方へ突出している状態です。門歯の前方傾斜や歯列不整など歯性の場合を除き、上顎門歯が下顎門歯よりも5mm以上突出している場合と、上顎下顎ともに突出している場合とがあります。いずれも顎顔面の美的バランスが損なわれるだけでなく、前者は下顎が異様に後退して見え、後者は口ばしの様に飛び出て見えます。また唇がいつも開いたような状態になります。
前者の場合は、上顎第4歯(第1小臼歯)を抜歯して歯槽骨部を切除してスペースを作成し、左右第1歯から第3歯までの上顎骨を水平骨切りします。その後硬口蓋をV字型に骨切りして分節して後方へ移動(Set back)します。約5mmから8mmの後方移動が可能です。
後者の場合は、上顎歯槽骨Setback法に加えて前述の下顎歯槽骨Setback法が同時に必要です。
一方歯科口腔外科などで一般的に行われている方法は、上顎骨水平骨切り術(Le Fort I)という方法ですが、ほとんどの場合は下顎枝矢状分割法(SSRO)や下顎枝垂直骨切り法(IVRO)などを同時に行うため、 術後2週間から1か月間の入院と顎間固定と鼻腔チューブ栄養が必要な上、術前には2年間に及ぶ歯列矯正が必要です。 当院の手術はたった4~5時間で終了し翌日からの食事摂取も可能なため、非常に短期間で通常生活が出来ることが大きな特徴です。
当院の手術はたった3~4時間で終了し翌日からの食事摂取も可能なため、非常に短期間で通常生活が出来ることが大きな特徴です。
・頭部3D CT検査、3D透明立体モデル作成、歯列モデル作成、頭部X線検査、パノラマ撮影、胸部X線検査、心電図、各種血液検査
・歯科にて歯列モデル作成時に、下顎左右第4歯(第1小臼歯)または第5歯(第2小臼歯)を抜歯します。
全身麻酔
約4~5時間
圧迫固定 | 術後3日間はフェースバンデージにて強く圧迫して腫れを予防します。 |
痛み | 殆どの場合、術後の痛みは軽度な鈍痛程度です。ピークは2~3日でその後は徐々に軽減して行きます。 |
腫れ | 1週間をピークに2週間くらいで退いて来ます。 |
うがい消毒 | 術後は2週間、毎食後イソジンでうがいを励行して頂きます。 |
抜糸 | 吸収糸のため抜糸は不要です。 |
検診 | 翌日、1か月後、3か月後、6か月後 |
シャワー・入浴 | シャワーは翌日から、入浴は3日後から。 |
痺れ | 術後しばらくの間口の周りの感覚が鈍くなることがありますが、通常は術後2週間くらいから1カ月程で徐々に回復して来ます。 術後下顎歯槽骨前歯部が後退するため、舌が歯列に当たりやすくなったり、滑舌が悪くなることがありますが、経過とともに徐々に改善します。 |
通常の経過ではチタンプレートで固定した分節骨部は、3か月から6カ月で骨癒合が完成しますが、稀に手術部の感染症や血流不全が原因で骨癒合不全を併発すると、歯槽骨が脱落することがあります。またそれに伴い歯牙欠損を生ずることがあり、その場合には歯科・口腔外科にての治療が必要になります。
術後6カ月検診時に、歯牙結紮のワイヤー抜去後頭部3D CT検査を行います。